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スタッフブログ

バックナンバー

2016年 10月のバックナンバー一覧です。
このエントリーは、10月31日発行(公開)の、
求人情報誌(フリーペーパー&WEB)『タウンワーク』
と連動させて、より詳しい内容をお伝えしようと書いています。



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「それでも長生きできてよかった」
そう思って頂くことが私たちの仕事だと思う。



◆◆◆『八日目の蝉』って読んだことがありますか?

 平成19年初版、角田光代氏の書いた長編小説です。
 第2回中央公論文芸賞を受賞しています。
 物語は、偽りの親子の逃避行。
 井上真央と永作博美のW主演によって映画化もされているし、TVドラマとしてNHKも放映していたので、観たことがある方もたくさんおられるのではないかと思います。

 物語のタイトルと、重要な台詞(暗喩)として蝉の話がでています。

  →蝉って、何年も土の中にいるのに、地上に出てきたらすぐに死んじゃうって
   知ったとき、びっくりしなかった。
   三日だか、七日だか、ちゃんと知らないけれど、ずっと土のなかにいたのに、
   生まれてきてそれっぽっちで死んじゃうなんて、あんまりだって、
   私、子供のころ、思ったことがあるんだよね。
   でもね、大人になってからこう思うようになった。
   他のどの蝉も七日で死んじゃうんだったら、べつにかなしくないかって。
   だってみんな同じだもん。なんでこんなに早く死ななきゃいけないんだって
   疑うこともないじゃない。
   でも。もし、七日で死ぬって決まっているのに死ななかった蝉がいたとしたら、
   仲間はみんな死んじゃったのに自分だけ生き残っちゃったとしたら、
   その方が悲しいよね。

  →前に、死ねなかった蝉の話したの、憶えている? 七日で死ぬよりも、
   八日目に生き残った蝉のほうが悲しいって、あんたは言ったよね。
   私もずっとそう思ってきたけど...... それは違うかもね。
   八日目の蝉は、他の蝉には見られなかったものを見られるんだから、
   見たくないって思うかも知れないけれど、でもぎゅっと目を閉じてなく
   ちゃいけないほどひどいものばかりではないと、私は思うよ。


◆◆◆高齢者介護の八日目以降
 
 七日目まではたやすくイメージできると思います。
 よく見かけるテレビコマーシャルや広告です。

  ・快適な居住空間
  ・充実のイベント、サークル活動
  ・安心の生活支援サービス

 自分のことが自分でできている高齢者(または予備軍)がイメージする、終の棲家に期待するのはおおよそこの三つではないかと思います。
 快適に過ごすことができて、適度に楽しむことがあり、いざというときにはそれなりに助けてくれる、なんとなく“豊かなで楽しい老後”という、実態はよくわからない幻想なのかも知れません。

 もしも、自分のことが自分でできなくなった時がきたとしたら...... それは、想定外のこと、思いもしないこと、ほとんどの人とは自分で自分のことができなくなる時までに死んでしまう。だからみんな同じ、“自分のことができなくなってしまうということが起こるかも知れない”とは考えないのです。それよりも、今が快適で、心地よければそれでいい。みんな同じように死んでいくのだからと漠然と願っているのです。。
 七日目に死ぬ蝉たちと一緒です。

 けど、八日目以降以上生きることができる方もいらっしゃるのです。
 自分のことが自分でできなくなってはいるけれども........

  ・人のお世話(特にシモの)にはなりたくない
  ・呆けてしまったらどうしようもない

 果たしてそうなんでしょうか?
 みんなと同じ生活ができなくなるなら、みんなと同じように同じような時期に死んだ方がいいと考える幻想なのではないのでしょうか。

 私たち介護の現場で働いている職員は、八日目以降を知っているのです。

   ・身体が思うように動かすことができない
   ・認知症で“今、どこ、何を”なんていうことがわからない

 方から、最期には、

   ・意思疎通を図ることができない
   ・自分の力で食べることができない

 方までお世話をさせていただいています。



◆◆◆私たちは、葛藤をはね返す瞬間を見て知っている


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 夜勤が終わったあと、ベッドサイドレールに身体を預けてゲストの顔を一心に見つめている職員がいました。時々話しかけているかのような声が聞こえてきますし、頬をなでたり前髪を整えたりもしているようです。Tさんは終末期に入っていますので、目に見える反応はすでにありません。職員はTさんに思い出話をしているのでしょうか。それとも励ましの言葉をかけているのでしょうか。1時間あまりそうしていたようです。
 何度か振り返りつつ退勤したその夜、Tさんは帰らぬ人になりました。職員はわかっていたのでしょうね。“もうお会いできない”ということを......


 →八日目の蝉は、他の蝉には見られなかったものを見られるんだから、
  見たくないって思うかも知れないけれど、でもぎゅっと目を閉じてなく
  ちゃいけないほどひどいものばかりではないと、私は思うよ。

 身体が動かなくなったその先、認知症を発症したその先、豊かで楽しい老後のイメージからは逸脱してしまった道なのかも知れません。
 でも、七日目までしか見ないような人たちは、決して見ようとしない八日目があるのは間違いありません。
 私たち現場の職員は、八日目以降の世界を知っていますし、そこがどんなものなのかもわかっています。

 特別養護老人ホームで暮らすゲストの方々の生活は、見たくないもの・見せたくないものではありません。
 八日目以降には八日目以降の世界がしっかりとあるのです。
 七日目までしか知らない、想像できない人たちは忌み嫌う世界なのかも知れません。
 角田光代さんの傑作を、こういう風に読み取ることって無理がありますかね。


 →ぎゅっと目を閉じてなくちゃいけないほどひどいものばかりでないよ

 『八日目の蝉』で保護された秋山恵里菜が“優しかったお母さんは私を誘拐した人でした”と回想した野々宮希和子。
 彼女が、不倫・誘拐、逃亡という常識(七日目までの蝉の世界)から先の世界(八日目以降の蝉の世界)で見たものは、ひどいものではなかったのだと思います。
 “優しかったお母さんは私を誘拐した人でした”は文庫本の帯コピーなんですが、本文にもこんな台詞があります。希和子が宮田京子として働いていた工場の女将さんだった沢田昌江は「あんたが野々宮希和子じゃなくて、宮田京子だったらどんなにいいかって、今でも思っている」と結審後語っていたと。
 八日目の世界での出来事への肯定であり、野々宮希和子に関わった人たち(読者も含めて)への救いだと思います。
 今年も、浜石屋キッズのかわいい子供たちが施設に

  ・トリック or トリート

とやってきてくれました。

 今日29日は“木枯らし一番”が吹いたそうで、肌寒い一日でしたが、特養とグループホームのゲストの前で「トリック or トリート」



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 もちろん“いたづら”は嫌なので、お菓子を手渡しました。
 手作りではないのですが、かわいいお菓子でしょう!
 いくつか残っていたので、玄関ホールに飾っています。
 31日にまで、誰かに配ろうと思っています。
 ロングステージでは、資格取得支援のための勉強会を実施しています。

  ・介護福祉士国家試験受験対策講座
  ・社会福祉士国家試験受験対策講座

 そして、介護支援専門員実務研修受講試験対策講座です。

 4月から始めた講座も15回を越えました。
 受講した職員のみなさんには、体調に気をつけて存分に力を発揮して欲しいと願っています。


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アメちゃんセットをプレゼント


 試験会場で“脳”に糖分を補給していただくためのおまじないです。
 誰にでも食べていただくことができるように、お洒落なキャンディーではなくて、定番の“アメちゃん”にしました。
 商品名でなんなんですが、黄金糖、パイナップル飴、イチゴミルクキャンディーの三種類をふたつづつ、かわいい袋に詰めてみました。
 では、受験する職員のみなさん、体調を崩すことなく受験し合格を目指してください!

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