フランスの文化人類学者「レヴィ・ストロース」さんがお亡くなりになられました。
1908年生まれですので101歳、ずいぶんと長生きされたものです。

代表著作に『野生の思考』があります。その中で、

  ・ブリコラージュ

という考え方を提唱しています。

この“ブリコラージュ”という言葉が、三好春樹氏が主宰して発行している
介護情報誌の書名になっているのです。

以下、三好春樹氏『関係障害論』からの引用です。

 「野生の思考」と「栽培の思考」
  私がすごいと思う思想家は、吉本やフーコーだが、好きな思想家は
  レヴィ・ストロースである。
  なにしろ、「野生の思考」のサルトル批判は、私を実存主義の袋小路から解き放ち、
  その中で提唱された「ブリコラージュ」という概念は、毎日やっていた
  老人ケアの意味に気がつくキッカケを提供してくれた。彼の人間観は、
  西欧的な切り離された個人ではなく、交換する人間=関係づけられた存在、
  関係づけていく存在であり、それが、日本の老人の介護現場にいる
  私には救済であった。

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クロード・レヴィ・ストロース/〔著〕 大橋保夫/訳、みすず書房、1980年発行

高くて(5,040円)難解な本ですが、示唆に富んだ奥深い一冊。


これらのことが、ただの“三好さんの追っかけ”であった私に、介護を思想として、
そして、業務を判断する上での理念哲学として気がつくキッカケになったのです。


Bricolage(ブリコラージュ):ウィキペディアフリー百科事典より引用
 ブリコラージュ(Bricolage)は、「寄せ集めて自分で作る」「ものを自分で修繕す
 る」こと。「器用仕事」とも訳される。元来はフランス語で、「繕う」「ごまかす」
 を意味するフランス語の動詞 "bricoler" に由来する。
  フランスの文化人類学者・クロード・レヴィ=ストロースは、著書 『野生の思考』
 (1962年)などで、世界各地に見られる、端切れや余り物を使って、その本来の用途
 とは関係なく、当面の必要性に役立つ道具を作ることを紹介し、「ブリコラージュ」
 と呼んだ。彼は人類が古くから持っていた知のあり方、「野生の思考」をブリコラー
 ジュによるものづくりに例え、これを近代以降のエンジニアリングの思考、「栽培さ
 れた思考」と対比させ、ブリコラージュを近代社会にも適用されている普遍的な知の
 あり方と考えた。