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 美味しそうでしょう! 嘉例川駅百年の旅物語、通称“かれいがわ弁当”です。
 地の食材を活かした素朴な料理が並びます。
   ・筍と椎茸の炊き込みご飯
   ・手作りさつまあげ
   ・茄子の田楽
   ・なます、お漬け物
   ・びわ
   ・さつま汁
のお品書きです。
  >本物には、さつまいもの天ぷら(通称がね)がつくのですが、夏場の給食では難しいところです。

 さて、この駅弁を売っている嘉例川駅について少し蘊蓄を…
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 JR肥薩線、熊本県八代駅と鹿児島県隼人駅を結ぶ、全線単線非電化のローカル線です。
 八代駅から途中人吉駅までの間は、急流球磨川に沿う路線で“川線”と呼ばれています。
 人吉駅から吉松駅までは、日本鉄道三大車窓のひとつに数えられるえびの越えです。ループ線にスイッチバック、そして遙かに望む霧島連山、通称“山線”と言われる由縁です。ここを観光列車の「いさぶろう・しんぺい号」が走っています。
 吉松駅から隼人駅まではシラス台地ののんびりとした中を走りますが、その中に明治38年創業当時のまま残っている駅がこの嘉例川駅ともうひとつ大隅横川駅なのです。

 肥薩線は熊本と鹿児島を結ぶ大動脈として建設されました。なので、駅も立派でホームも長いのです。しかし、川沿いの屈曲した線形と険しい山越えが当時のSL(蒸気機関車)には辛く輸送力増強の妨げになっていたのです。そこで、八代駅から距離は長いけれども勾配や曲線の緩い海沿いの路線が作られたので、その開通に伴いえびの越えのこちらの路線はローカル線に凋落したのでした。

 しかし、立派な本線としての設備(長いホームや重厚な駅舎)はそのまま残ったのです。そして、その後も大きく輸送量が増えることもなかったので、建て替えされることもなく、100年以上前の建物が今もなお現役として大切に使われているのです。

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 今回偶然ですが、先日この駅を訪れています。
 その時の写真を栄養士さんが“掛け紙”に使ってくれました。
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 左が掛け紙:ゲストに「遠くまでいったねぇ~」と言われて照れています。