このエントリーは、1月18日発行(公開)の、
求人情報誌(フリーペーパー&WEB)『サリダ』、『an』の掲載している、

“ゆっくりだけど丁寧”ができる方、大歓迎
~是非一度、仕事のペースや考え方を見て下さい~

と連動させて、より詳しい内容をお伝えしようと書いています。




 デイサービスの送迎をお手伝いすることがあります。
 特養やグループホームで生活されているゲストより要介護度が軽い(低い)方が多いので、結構車中は賑やかなんです。運転しているわけですから、積極的に会話に入っていくわけではありませんが、それでも“高齢女子”の四方山話が耳には入ってきます。

 ・お父さんの朝ご飯作って、資源回収の新聞を出したから今朝は忙しいわ
 ・昨日は朝から病院、、一日何もできへんかったわ
 ・来週は孫がくるねん、忙しくて何もできへん

 “高齢女子”ですから仕事はしておらず子供も独立、家ではおそらく旦那さんと二人きりの生活のはずです。
 仕事をして子供を育てている頃からすれば、ずっと時間に余裕があるはずだと思うのですが、みなさん一様に“忙しい”とおっしゃります。

 一方、デイサービスセンターに到着されたら、ゆっくりと送迎車から降りて、ゆっくりと上履きに履き替えて、ゆっくりと手洗いうがいをして、ウェルカムドリンクをゆっくりと楽しまれています。
 このテンポを、私たちの都合で急がせてしまうと、家に帰ったら、

  ・今日はデイサービスに行ったので忙しかった

と言われてしまうのでしょうね。気をつけなければなりません。


 レクリエーションだってそうです。
 一見長閑そうに見えるゲーム進行だって、実はゲストの年齢層のスピード感覚にはあっているのです。
 たまに、まだそのスピード感覚が“現役並み”の“アスリート系高齢男子”もいらっしゃいますが、その方は別プログラムでトレーニングしてもらい全体の雰囲気は“高齢女子”向けなのが、私たちの世界の標準のようです。
 なので、高齢者向けのレクリエーションやリハビリテーションが退屈だとか負荷が軽いとかいうような意見を聞くことがありますが、退屈や軽いと感じる人は別のプログラムをすれば良いのであって、ゆったりしたスピード感で負荷の軽い運動やレクリエーションを行うのは“高齢女子”にとって“のんびりできる”“ゆったりできる”良いことなんです。


 10日に行った特養での新年会、どちらかというと“のんびりプログラム”が中心でした。


20160116-DSC_0668.JPG

 お書き初めです。
 みなさん、かなり上手に毛筆を使われます。
 これは、のんびりですが手指の巧緻性をかなり求められる高度なレクリエーションです。
 お手本の先生さながらに書き上げていくゲストもおられます。



20160116-DSC_0677.JPG

 けど、ゲスト全員がこのような手指の巧緻性を持ち合わせているわけではありません。
 レクリエーション、リハビリテーションの鍵は、その効果だけに焦点を当てられることが多いのですが、とっても大切なことがあります。それは、レクやリハをしているゲストに、

  ・恥をかかせない、恥ずかしい思いをさせない

ということです。
 なので、麻痺や認知症のあるゲストに対してのお楽しみレクも準備しています。
 大きな“福笑い”です。
 他にも、大きな“かるた”があったりします。



20160116-DSC_0713.JPG

 こちらは、住吉神社さんに奉納する絵馬に願い事を書いていらっしゃいます。
 書くと言うことも大切なことですが、年頭に当たって“お願い事”を考えて人前に出すと言うことがもっと大切なんだと思います。
 願いを持って夢を持って前に向きに生きていって欲しいと思います。



20160116-DSC_0687.JPG

 獅子舞の舞い手はもちろん私たちの職員です。
 ネタバレですが、各階の男子職員が持ち回りで行っています。
 前にも書きましたが、かなり汗をかくこの仕事。実は大変なんです。
 施設の行事は、表に出る職員も裏でがんばる職員も一体となってやっていかなければなりません。
 当然、獅子舞もゆっくりとまわります。
 4階から1階までじっくり回って約1時間かかります。

 手指の巧緻性のお話でもう一つレクリエーションを紹介します。
 “ちぎり絵”です。
 毎月1回、先生が来られて楽しみます。


20160116-DSC_0852.JPG


20160116-DSC_0862.JPG

 器用と言って良いほどの指先の動きのゲストです。
 このような細かい動きをまだできるゲストもおられるのです。

  ・特別養護老人ホームは、ゆっくりとのんびりとした生活をおくるためのところ。
  ・特別養護老人ホームは、楽しいレクリエーションや機能維持のためのリハビリテーションを行うところ。

 どちらも正しいのです。
 ただ、対象とするゲスト個々に対して混在させるときは、その時々の対応にメリハリを付けなくてはなりません。

  ・今は、要領や速度や巧緻性を求める場合なのか
  ・今は、その人のペース、できることに合わせて援助すべき場合なのか

 ここのスピード感の把握を間違えると、折角の生活が慌ただしくなったり、逆に単調になり間延びしてしまうのです。

 みなさんも、自分の生活を見て見てください。
 半径5メートル程度の環境がしっくりしていると、人間とっても楽ですから。
 その環境って、スピードであり、扱われ方であるのですよね。
 ロングステージは、そこにこだわっているのです

 そうこうしている間に、ちぎり絵ができあがりそうです。
20160116-DSC_0865.JPG
 新年のお題は【だるま落とし】でした。