このエントリーは、
6月1日公開の『リクナビNEXT』と連動して、
より詳しい内容をお伝えしようと書いています。




 6月1日から転職求人サイト【リクナビNEXT】に社会福祉法人 鶯園 特別養護老人ホームロングステージ御影としてサイトを掲載しています。
 『タウンワーク』を始めとしたフリーペーパーや『アイデム』などの新聞折り込みにも求人広告は出していますが、スマートフォンが重要な情報媒体となった昨今、ロングステージとしても『とらばーゆ』にはサイトを開設し、今回大手転職サイトである『リクナビNEXT』にページを設けたのです。
 原稿を書いていくに当たって、考えたのは次の2点です。

  ・同業他施設の広告とひと味違ったものにしよう
  ・私たちが実際していることから魅力を伝えよう

 2月15日から8週間にわたって2P見開きで掲載した『タウンワーク』でも、“現場・現実・現状をありのままに”という視点に立って、ゲストさん本人やご家族、働く職員、そしていつも良くしていただいているボランティアさんの生の写真と生の声を使って記事を作りました。そして制作担当者は施設に足繁く通ってきてくれていたので、“取材者のビックリ!”というコラムを新しく作ったり、取材通して感じたことを各回のリードコピーとして紡ぎ上げてくださったのです。

 『リクナビNEXT』でも原稿を書いていく上でまず何を訴えようかという“キーコンセプト”作りから、制作担当者と話を進めていくことになりました。営業サイドは当然のことなのでしょうが、“仕事の内容を閲覧者に伝えよう”ということを前面に提案してきます。しかし、今回私は“転職者の気持ちになって”を土台に考えていたので、

  ・転職者へのメッセージ
  ・職場での居所

を“キーコンセプト”にして文章を作るように考えていました。制作担当者・ライターさんを巻き込んで議論をしました。結果、みんなが納得して、

  ・仕事のやりがいを感じることのできる職場はきっと見つかります。

という、メインコピーが生まれたのでした。


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◆◆◆『13歳のハローワーク』村上龍(著)
 娘のために購入した本です(笑)
 2003年に初版、7年後の2010年に新版が出ています。
 「旧版の発行から7年が経ち、新しい職業が増え、仕事をとりまく社会状況も大きく変わっているから改訂版を出すことにしました」ということですが、その「はじめに」という前書き部分で、著者の村上氏は、仕事とは【出会う】ことだと書いておられます。
 13歳の子供たちは「好きなことを探しなさい」、「好きなことを見つけなさい」と言われ、大人になったら「自分を活かす仕事を探しなさい」、「自分に向いている仕事を見つけなさい」と言われ続けるわけです。しかし「好きなこと」、「向いている仕事」も「探して見つかるもの」ではなくて【出会うもの】だとと村上氏は強く主張します。

 そして出会うために必要なことは【好奇心】だそうです。苦手な数学の授業では意識して先生の話を聞かなくてはなりませんが、好きな女の子の表情や仕草には別に努力しなくても自然に引きつけられます。好奇心が刺激されると心が傾くわけです。
 なので、目的の仕事に出会うために、

  ・自分が好きになることのできる仕事がきっとあるはずだ
  ・自分に向いている職場にいつか必ず出会うことができる

と心のどこかで強く思う必要があるのです。そう思っていなければ何かに出会って、心が傾いたときに「これかも知れない!」と閃くことができないからです。


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◆◆◆『これが答えだ!』カート・コフマン (著)
 →1000万人の顧客、300万人の従業員、20万人のマネジャーを対象とした調査から、
  生産性の高い組織とそうでない組織とのちがいが明らかになった。
  それが“ギャラップQ12”と呼ばれる12の質問だ。
  これら12の条件が満たされれば、マネジャーは必ず生産的な職場を
  生み出すことができる!
  1300万人を超える膨大な調査データから導き出された新事実。

 ギャラップQ12
   (リクナビNEXTの写真では見にくいので、ここに全文を書きます)
 Q01:職場で自分に何が求められているかわかっている
 Q02:仕事を適切に行うために必要な材料や道具等が揃っている
 Q03:毎日最高の仕事が出来る機会に恵まれている
 Q04:最近1週間で、仕事の成果を認められたり、褒められたりしたことがある
 Q05:上司や仕事仲間は、自分をひとりの人間として認めて接してくれる
 Q06:自分の成長を後押ししてくれる人が職場にいる
 Q07:職場で自分の意見が尊重されている
 Q08:組織の使命・目的にとって、自分の仕事が重要だと感じている
 Q09:同僚が真剣の質の高い仕事をしようとしている
 Q10:職場で何でも話すことのできる人がいる
 Q11:過去6ヶ月に自分の進歩について誰かと話し合ったことがある
 Q12:昨年、自分を成長する機会を与えられた

 『リクナビNEXT』では、スペースの関係もあって、この12個の問いの内、
 1.3.4.5.6.7.9.11.12の8つ選んで載せています。

 ギャラップ社が行った調査(アメリカの会社ですから、アップルやグーグルなどの大手有名企業が中心)によると、

   ・全世界の平均値は、3.6 (ロングステージ御影は3.5 惜しい!)
   ・平均値が3.8を超えると時間差はあっても成果へとつながり、逆に3.3
    を切ると成果への悪影響が大きいそうです。

 では、ロングステージ御影の得点を
      Q01:3.7
      Q02:3.3
      Q03:3.1
      Q04:2.9
      Q05:3.9
      Q06:3.7
      Q07:3.4
      Q08:3.5
      Q09:3.7
      Q10:3.9
      Q11:3.0
      Q12:3.3

 高いのは、Q05、06、09 どうやら上司や職場仲間との関係は良いようですね
 低いのは、Q03、04、11 なかなか褒められたり認められたりすることがない
 最高得点はQ5の3.9「上司や仕事仲間は、自分をひとりの人間として認めて接してくれる(気にかけてくれる)」です。
 一方最低得点はQ4の2.9「最近1週間で、仕事の成果を認められたり、褒められたりしたことがある」でした。私も“仕事を認めたり褒めたりしたこと”があるかなと胸に手を当て考えてみました。
 寮母長や相談員など上位職者に尋ねてみても「そうかもしれない.....」という感想です。つまり、御影の組織は「職員への気遣いはできているのだけれども、日々の仕事内容や成果に対する“承認”が充分ではないので職員が満足していない」ということなんだろうと推測しました。


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◆◆◆“いいねっ!!”カードの取り組み
 そこで「褒める・認める」取り組みを始めました。

  ・“いいねっ!!”カード

 職員が職員に手渡す“あなたのことを見ています、“ありがとね、助かったわ”という意味合いのカードです。一応「MIND」に基づいてという基本はありますが、なかなか面と向かって「ありがとう」と言えないことでも、後でさりげなく伝えることができるようにとカード方式にしました。最近では“いいね!!”の別バージョンとして“感謝(ありがとう)”カードもできて、この活動を続けています。

 3ヶ月毎に集計しています。
 もらった数、贈った数を集計します。
 直近の2月~4月期の集計では、

  ・もらった数1位(同率で2人)  24枚  2位(22枚) 3位(20枚)
  ・一番多く贈った人  15枚

でした。
 各受賞者には、私の名前で表彰状を授与します。
 そして、名札に付ける光る星のプライズマーク(シール)も併せて贈ります。

 小さな取り組みですが、やる前と較べてQ4に点数はあがりました。でもQ11がいまいち上がってきません。次の取り組みは、

  ・自分自身の成長感と、上司の承認とのギャップ、
   その解決のためのコミュニケーション

だなと考えています。現状把握だけではなくて、次の取り組みのためにも有意義だったギャラップQ12でした。

 実はこの取り組み、私が主導したわけではなくて各フロアリーダーが中心となって構成している「ユニットケア学習会」が行ったのです。集計は秘匿性の都合上私が行いましたが、“いいねっ!!”カードの取り組みについてもリーダーたちの発案によるものです。もちろん“コンサルト会社”が入っているわけでもありません。


 転職希望のみなさん、【出会い】に来てみてください。
 ロングステージ御影が、「好きになることのできそうな職場」であり、「自分に向いてそうな職場」であることを願っています。


 もう一文『13歳のハローワークから』

 世の中の仕事は全て、お客様のニーズがあるから成り立っています。しかし、その仕事がなかったら、その仕事をしているあなたがいなければ、自分は穏やかな毎日を送ることすらできないというくらいのお客様の切実なニーズを受けて働ける仕事は、世の中にそう多くはないだろうと思います。お客様の生活全般にこれほどまで深く、そして長く関わる仕事は他にはほとんどないと言ってよいでしょう。
 決して楽しいことばかりではありません。お客様と深くかかわって、お互いの心の底をぶつけ合えば合うほど、本気で腹の立つこともある仕事です。でもその分だけ「あぁ、この方は本当はこういうことが言いたかったんだ」とか、「自分をこういうふうに見てくれていたんだ」とか、気持ちが通ったときの喜びはひとしおで、きっと一生の宝物になります。
 そして、どうか信じてください。何年か経つと、腹の立ったことや苦しかったことはどんどん薄れていって、心の中にはそうした宝物がたくさん残るのです。
       『13歳のハローワーク(スペシャルエッセイ)』 武田雅弘氏より抜粋